ニュースリリース

マンションの室温と健康・快適性との関連を確認


~産学連携でZEH-Mがもたらす住環境の価値を実証~

2026年08月20日

株式会社大京
株式会社穴吹工務店
株式会社イズミコンサルティング

株式会社大京(本社:東京都渋谷区、社長:細川 展久)、株式会社穴吹工務店(本社:香川県高松市、社長:竹本 勝)および株式会社イズミコンサルティング(本社:東京都新宿区、社長:小池 康仁)は、このたび、近畿大学建築学部(以下「近畿大学」)および大阪大学大学院医学系研究科(以下「大阪大学」)と共同で実施した「ZEH-M(ゼッチ・マンション)※1の室内環境が居住者の健康や快適性に与える影響に関する研究」※2について、結果を取りまとめましたのでお知らせします。

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本共同研究では、大京および穴吹工務店が分譲するZEH-M仕様の新築マンション契約者を対象に、入居前の住居(非ZEH-M仕様)と入居後の住居(ZEH-M仕様)における住環境と、その健康への影響を調査しました。入居前および入居後の冬季にそれぞれ3週間、室温ならびに血圧・脈拍の測定と、住居の快適性や健康状態に関するアンケート調査を行いました。加えて、イズミコンサルティングが、ZEH Mの温熱環境性能を確認するため、入居後の住居(ZEH-M仕様)において温度や湿度などの室内環境の実測および温熱環境シミュレーションを実施しました。

これらのデータをもとに、近畿大学および大阪大学との共同研究により、健康性・快適性の解析と検証を行った結果、リビングや寝室などの居住空間における室温の改善が、居住者の血圧低下や睡眠の質向上、目のかゆみなどの身体症状の改善と関連することが確認されました。一方で、脱衣所や廊下などの一部については、室内環境に改善の余地がある可能性も示されました。本研究のうち血圧に関する研究成果は、2026年6月開催の日本抗加齢医学会総会にて発表されたほか、日本高血圧学会雑誌『Hypertension Research』2026年7月号に掲載されました※3

本研究により得られた知見は、省エネ性にとどまらず、健康性や快適性の観点からZEH-Mの価値を示すものであり、今後の商品開発や仕様検討に活用し、脱炭素と快適な住まいの実現を目指してまいります。

※1 ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・マンションの略。高断熱性能や高効率設備・システムの導入により、一次エネルギー消費量を基準値と比べて20%以上削減し、快適な室内環境を維持しながら、省エネルギー性能の高い住まいを実現するマンション。
※2 2024年3月8日付リリース:近畿大学など関西の二大学と産学連携 マンションの室内環境と健康に関する共同研究を開始
※3 血圧に関する研究内容は以下の論文参照Changes in blood pressure following the relocation of individuals to well-insulated and well-ventilated apartments building. Hypertens Res. 2026 Jul;49(7):2123-2127. doi: 10.1038/s41440-026-02673-x

1. 共同研究について

■実施背景
政府は、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、省エネ基準適合の義務化※4など、住宅の省エネ性能向上を進めています。その中で、ZEH-Mは新築集合住宅を中心に普及が進む一方、既存住宅の断熱改修などは十分に普及しているとは言えない状況です。

こうした背景のもと、本共同研究では、ZEH-M仕様と非ZEH-M仕様の住宅における住環境の違いが、居住者の健康性や快適性に与える影響について、実測データに基づき検証しました。

※4 国土交通省「省エネ基準引き上げへ。脱炭素化も。」

■実施内容
大京および穴吹工務店が分譲したZEH-M仕様の新築マンションの契約者を対象に、入居前後の居住者調査ならびに室内環境の実測・分析を実施しました。

具体的には、入居前の住居(非ZEH-M仕様)および入居後の住居(ZEH-M仕様)において、冬季にそれぞれ3週間、居住者に室温や血圧・脈拍測定に協力いただくとともに、住居の快適性や居住者の健康状態に関するアンケート調査を実施しました。調査は、入居前調査を2024年2月、入居後調査を2025年2月に実施し、モニター数は185名(約130世帯)です。あわせて、イズミコンサルティングは、入居後の住居(ZEH-M仕様)において約3日間、室内温度や湿度などを実測するとともに外気温や建物の設備・仕様をもとに温熱環境シミュレーションを行い、室内環境の快適性を分析しました。

これらのデータをもとに、近畿大学建築学部教授(研究当時)の岩前篤氏および大阪大学大学院医学系研究科健康発達医学寄附講座教授の中神啓徳氏が、2025年9月までZEH-Mにおける健康性や快適性の解析と検証を実施しました。

■研究結果の概要
解析の結果、リビングや寝室における室温の改善が、居住者の血圧低下や睡眠の質向上、目のかゆみなどの身体症状の改善と関連していることが確認されました。また、温熱快適性指標(PMV)※5においても、居室空間では、快適性に寄与する傾向が認められました。一方、脱衣所や廊下などの非居室空間の一部では、ZEH-M仕様であっても健康性や快適性の観点から十分とは言い切れない課題が明らかになりました。

※5 人が感じる温冷感を数値化した指標。温度や湿度、着衣量などをもとに、「暑い(+3)」から「寒い(-3)」の7段階で快適性を評価。

【入居前後の変化】
(1)血圧
起床時の血圧の全体解析では、1年間を通じて血圧の変化はみられなかったものの、高血圧群、高血圧治療群、60歳以上の集団に分けて分析したところ、降圧が認められた。全体解析の対象者は平均年齢42歳と比較的若年層が中心であり、多くが正常血圧であったと推察されることから、住宅環境に関わらず血圧はおおむね維持されたものと考えられる。

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※6 入居前調査(2024年2月)時点で収縮期血圧の平均値が125mmHg以上だったグループ。
※7 入居前調査(2024年2月)時点で血圧関連の治療薬を服薬していたグループ。
※ 同じ対象者の転居前後の平均値を比較し、変化に差があることを確認する検定(t検定)を実施。
※ ※3の論文記載データをグラフ化したもの。

(2)室温
リビングや寝室などの居室空間において、室温に関する居住者の主観的な評価が、統計的に有意に改善したことを確認した。

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(3)睡眠変化
転居前後で睡眠の質が改善し、睡眠障害の疑いありの人数が減少するとともに、寝室の寒さ改善との関連がみられた。

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※ 統計手法により転居前後に明確な違いがあることを確認。
※ さまざまな睡眠障害の評価に有用なツールである、ピッツバーグ睡眠質問票を用いて評価。

(4)症状変化
身体の状態に関する質問において、転居前後で多くの項目で改善がみられ、「目のかゆみ」、「アレルギー性鼻炎」などにおいて、症状なしと回答した割合が増加した。

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(5)その他
本研究では、居室空間における室温改善と健康・快適性指標との関連が示唆される一方、非居室空間などにおいては、温熱環境の観点から改善余地がある可能性も確認された。

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【ZEH-Mの温熱環境性能】
入居後リビング快適性
実測ヒアリング調査では、入居後(ZEH-M仕様)のリビングにおいて、暖房停止時でも上下温度差が小さく、低温域が少ないことが確認され、暖房時のPMVはおおむね快適域内となった。体感については「やや暖かい(PMV+1相当)」との回答が多く、算定したPMVよりも暖かく感じられる傾向がみられた。

また、数値シミュレーション検証では、エアコン吹出口付近を除く室内全体において、PMVは±0.5の範囲内に分布しており、快適な温熱環境が確保されていることが検証された。

※ PMVは着衣量:1.0clo、活動量:1.0metにより算出。

img_20260820_7.jpgPMV分布(床上1.2mにおけるシミュレーション図)

■今後の展望
大京および穴吹工務店は、これまでZEH-Mなど高断熱仕様のマンション開発を推進してきました。今後は、本研究で得られた知見を踏まえ、さらなる快適性の向上を目指して、断熱・省エネ性能の一層の高度化に取り組むとともに、住戸全体のさらなる価値向上に取り組んでまいります。また、居住者および地球環境の双方に配慮した、より良い住環境の実現に向け、今後も研究検討を進めていきます。

2. 共同研究協力者コメント

■岩前 篤(いわまえ あつし)氏
近畿大学 建築学部 教授(研究当時)

現:ウムヴェルト建築総合研究所株式会社 主宰

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温度や騒音、明るさなどの建築物の屋内環境が居住者に与える影響の定量化について、これまで多くの研究がなされてきているが、以前と異なる近年の大きな傾向の一つに、居住者の健康性の観点で、これを明らかにしようとするものが増加してきている。本研究は実際の暮らしにおいて、転居の前後での暮らしと健康度の変化を見るものであるが、対象者を予めスクリーニングしたものではないため、年代や健康度に大きな幅があり、結果は今の社会を表していると考えられる。本取り組みでは室温測定とアンケート調査により、転居前後の差異を詳細に検討している。例えば睡眠については、転居前が戸建て居住の高齢者に転居後の改善が顕著となっており、低温の健康影響が如実に表れているなど、既存の調査結果を再現している。一方で、従来はあまり対象とされていない若年層に関する結果が豊富にある点も特筆すべきである。若年層は一般的には体力に優れているため、環境からの影響は受けにくいとされており、その傾向も結果に表れているが、中には、その若年層でも温度変化による影響が表れている点がある。

健康性は高齢者のキーワードと考えられがちであるが、若年層においても重要であり、家庭内事故の抑制や仕事におけるパフォーマンスの維持などとの関連も今後、視野に入れるべきと考えられる。

【研究内容・専門分野】建築環境システム
建築物、特に健康・快適でエネルギー性能に優れた住宅のありさまについての研究を実施。

■大阪大学 中神 啓徳(なかがみ ひろのり)氏
大学院医学系研究科健康発達医学寄附講座 寄附講座教授

冬季に室温が低い住宅では高血圧および血圧変動が認められ、脳梗塞や心筋梗塞などの心血管イベントが増加することが指摘されているが、本研究では、高断熱マンションへの転居前後の家庭血圧の変化を比較し、室温と血圧との関連を調べた。

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全体集団の解析結果においては、平均血圧は前後差が認められなかった。今回の集団は平均年齢42歳の比較的若い集団で大半が正常血圧と推察されるため、住宅環境に依らず正常血圧を維持できた人が多かったと考察される。逆に言えば、同一人での血圧測定データの再現性は高く、血圧測定の精度も十分に確保されていると考えられる。

部分集団解析において、高血圧群、高血圧治療群、60歳以上の集団において転居前後で拡張期血圧の有意な降圧が認められた。この降圧は、禁酒や減塩といった非薬物的生活指導による降圧効果が平均2~5mmHg程度とされる中、それを上回る降圧効果であったことは、注目に値する。

近年、高断熱・高気密の住居では快適性・健康性が向上しているとされているが、今回の結果は、住宅環境の改善が血圧に与える影響の大きさを示唆し、冬季の心血管イベント抑制に寄与できる可能性を示している。

【研究内容・専門分野】高血圧、生活習慣病、抗加齢医学
生活習慣・環境と健康状態、特に心血管疾患・加齢についての研究を実施

3. 大京および穴吹工務店のZEH-M実績

オリックスグループの不動産事業において、分譲住宅開発事業を担う株式会社大京と株式会社穴吹工務店は、計95件(竣工べース、2026年6月末時点)のZEH-M仕様のマンションの実績を有しています。

大京は、2026年1月に、今後開発する新築分譲マンションブランド「THE LIONS(ザ・ライオンズ)」において、ZEH基準を上回る断熱・省エネ性能を有する新たな省エネ住宅基準「GX ZEH」基準を標準採用することを決定し、開発を進めています※8。また、穴吹工務店は、「ZEH-M Oriented」基準を満たす仕様で開発を推進しています。

※8 2026年1月27日付リリース:「GX ZEH」仕様の標準化を推進

4. イズミコンサルティングの業務実績

イズミコンサルティングでは、「ザ・ライオンズ世田谷八幡山(株式会社大京)」含む多数のZEH-Mの認証取得におけるコンサルティングを行っています。非住宅分野においても、ZEBコンサルティングや建築物省エネ適判支援など国内トップクラスの実績を誇り、建物の環境性能向上に貢献しています。

近年は、国内外の環境認証(CASBEE、LEED等)、避難安全検証法コンサルティングに加え、CFD(Computational Fluid Dynamics)による温湿度・気流・風などの環境解析や建築物LCAに関するコンサルティングも提供しています。また、BIMの導入支援やクラウドサービス等のソリューションの提供も手掛けています。2050年のカーボンニュートラルに向け、専門性を生かす形で建築物の省エネ・環境性能の推進に積極的に取り組んでいます。(業務実績のご紹介https://izmc.co.jp/works/

5. 会社概要

■株式会社大京
所在地 東京都渋谷区千駄ヶ谷4丁目24番13号
代表者 代表取締役社長 細川 展久
設立 1964年12月11日
事業内容 不動産開発、不動産販売、都市開発
ウェブサイト https://www.daikyo.co.jp/

■株式会社穴吹工務店
所在地 香川県高松市藤塚町1丁目11番22号
代表者 代表取締役社長 竹本 勝
設立 1961年1月11日
事業内容 不動産開発、不動産販売、建設請負
ウェブサイト https://www.anabuki.co.jp/

■株式会社イズミコンサルティング
所在地 東京都新宿区揚場町1丁目21番 飯田橋升本ビル4階
代表者 代表取締役 小池 康仁
設立 1973年9月1日
事業内容 建築物の環境・防災・BIMコンサルティング
ウェブサイト https://izmc.co.jp/

お問い合わせ先

オリックス株式会社 グループ広報・渉外部 TEL:03-3435-3167
株式会社イズミコンサルティング 広報室担当 TEL:03-6427-7511

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